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2013/02/28

冬の田代島を歩く ― 回復した猫の数と、減りつづける人口


石巻には、田代島という小さな離島があります。

空き家や物置小屋などに、野良猫がたくさん住みついており、
近年では「猫島」として有名です。



お年寄りが、物置小屋の猫たちにエサを与えていました。
島の漁師が朝に獲ったタラを、ご飯と一緒に煮たものです。



エサの匂いを嗅ぎつけ、近所の猫たちも集まってきました。
猫の間にも秩序があるらしく、順番待ちをしています。



田代島は、石巻の街から南東15キロほどの海上にあります。
南から来る海流のおかげで、冬も比較的あたたかく、雪の少ない所です。



海岸近くの家は津波の被害を受け、解体、撤去されています。



港では、震災で沈下した岸壁を、かさ上げする工事が進んでいました。



田代島の猫たちは、「大漁を招く」として、昔から大事にされています。
猫神社と呼ばれる小さな祠(ほこら)もあります。



島内には、仁斗田、大泊と2つの集落があり、猫は仁斗田に集中しています。

猫の数は島全体で120~150匹ほど。
ちなみに、犬は一匹もいません。



津波が来たとき、流された猫もいたようですし、震災直後の島はエサ不足だったため、
猫が減った時期もありました。

でもその後、子猫が次々に産まれ、猫の数は回復しています。



島の狭い路地を、重そうな荷物を持って歩きまわっている人がいます。
写真家の田中良直さんと、獣医のクレス聖美先生です。



田中さん(右)とクレス先生(左)は、2ヶ月に1回ほどのペースで田代島を訪れ、
猫たちの健康状態をチェックしています。



風邪を引いている猫や、ケガをしている猫を見つけると、
田中さんがエサで猫を引き寄せ、クレス先生が手際よく、抗生物質を注射します。



民家の物陰に、かなり弱っている猫がいました。
クレス先生によると、腎臓を悪くしている可能性が高いとのこと。

震災前から田代島に通っている田中さんは、猫のいる場所を熟知しています。



田中良直さんは、愛猫の死が一つのきっかけとなって、
東京から田代島へと、通うようになったそうです。

島で出会う猫たちの年齢や性格、血縁関係、病歴などが、
しっかりと頭の中に入っている様子でした。



田代島は過疎の島です。
1950年代には、千人以上の島民が暮らしていたそうですが、
近年の人口は100人台。猫の数と同じくらいになっていました。



震災後はさらに人口が減り、現在は50~60人ほど。
都市部などから移住してきた数名をのぞき、大半がお年寄りです。

島の南端にある三石観音は倒壊寸前で、
春の例祭も行われなくなっています。



島の人が亡くなっても、葬式は本土(石巻の市街地など)で行われるようになって久しく、
お墓も、多くが本土に移されています。



石巻市は、人工の海水浴場や、マンガアイランドという名の宿泊・キャンプ施設を造ってきましたが、
島の衰退は止まりませんでした。



マンガアイランドの近くに、水田の跡があります。
ススキ野原の中に小さな水路が残っているらしく、水の流れ落ちる音が聞こえます。



田代島の猫たちは、漁師が与える魚や、支援物資のキャットフードを食べ、
人間を頼りにして暮らしています。

このまま島民の数が減れば、やがては猫の数も減っていくのかもしれません。



◆ 田代島へのアクセス

  • 旧北上川河口の船着場から、網地島ラインの定期船で45分~1時間、片道1200円。
    猫ツアーの場合は仁斗田港で下船(→定期船の詳細はこちら)
  • 車でお出での方は、船着場の周辺に無料駐車場があります。
  • 石巻駅から網地島ラインの船着場までは、徒歩30分、タクシーで800円ほど。
    石巻駅前~網地島ライン間の連絡バスもあります。運賃240円 (ミヤコーバス 0225-22-2341)

◆ 関連サイト 注意点など



より大きな地図で 田代島 を表示


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